Classici giapponesi con furigana
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だいこん
だいこん
久生 十蘭
Leggi だいこん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 153.732 caratteri · 303 schermate
とぼけているなどと思ったのはあたしの邪推で、なにかの都合でひどい物忘れをしているのらしい。そういえば、激戦震蕩症ということもきいている。いそがしいのでつい忘れるが、フレッドさんはチャイナ・クリッパアで日本へフジヤマを見に来たのんきな観光客じゃない。あたしなんかが理解することも想像することも出来ないようなすごい生活を何年もつづけながら、四千哩もむこうからやってきたオデッセエの一人だ。あまり使いすぎてどこかがこわれてしまったのかもしれない。
フレッドさんがだしぬけに大きな声をだした。
「ヘイ、だいこん」
あたしも負けずに大きな声をだした。
「そうさ、だいこんさ。やっとわかったね」
「だいこんが生きていた。こいつは戦略爆撃司令部のたいへんなミスだぞ」
フレッドさんはあたしの手を握ってむやみに振りまわしながら、むかしのようにふざけだした。あたしはゲラゲラ笑ってからいった。
「お馬鹿さん、どうしてあたしを忘れてしまったの。あたし腹をたてて、もうすこしで絶交するところだったのよ」
「おれは日本の戦災の状況をグァム島で毎日ラジオで聞いていたんだ。この調子ではパリ組も根こそぎ参るにちがいないと思ってよろこんでいた。