Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいこん

だいこん

久生 十蘭

Leggi だいこん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 153.732 caratteri · 303 schermate

Aozora Bunko

ガラスの万年筆で、

一九四五年九月二日、九時十八分、東京湾上に於いて

と偉大な署名を終った瞬間、こちらは威勢よく国旗をひきおろそうというわけだったんだ。それなら話がわかる。あたしはあっさりと兜をぬいだ。

「どうやらあたしの誤解らしかったですね。失礼しました。そういうことでしたら、弔辞の件はたしかにおひきうけしましたよ。なんでもないや」

家へ帰ってからパパとママに慰霊祭の真相をうちあけたら、パパとママがゾッとしたように眼を見あわせた。パパもママも、見当ちがいをして、慰霊祭の悪口をいっていた折柄だったので、これにはちょっとやられたらしかった。

弔辞なんかわけはないが、気にかかるのは弔辞を読むときに着る服のことだ。あまり美しいといえない娘が大勢の人の前へ出なければならないとき、着て行く服のことが友情より切実な問題になる。そのため昨夜は明けがたまで煩悶した。ベッドにあおのけに寝て想像のあたしに何百度服を着せたりぬがしたりしたかしれない。この服のほうがいいと思う。するとすぐ、そうじゃない、前のほうがいいと思いなおす。いや、これよりも前の、前の、ほうがいい。どうしましてこうしてみると、これよりも前の、前の、前の、前の、ほうがどんなに似合うか知れやしない。