Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいこん

だいこん

久生 十蘭

Leggi だいこん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 153.732 caratteri · 303 schermate

Aozora Bunko

靴をもらえないのだとみえていつも素足に藁草履をはき、ドラム鑵をのせた牛車を追いながら陣地から降りてくる。腰に一尺ばかりの棒切れをさげているのでたずねてみたら、しなびた兵隊さんは頭をかきながらいった。

「わア、棒切れはひどい。これでも銃剣のつもりなんですよ。そういってわたされたんですが、どうしたってそうは見えないね、これゃ」

きょうは棒切れをさげていないが、またいちだんと煤け、見るからに篤実なようすをしていた。

「お水なの」

「水はもういいです。隊は昨夕解散しました。ながながお世話になりました」

あたしは気取った声でいった。

「お家へお帰りになるのね。なんでしたら、お茶でも」

「結構です」

「じゃ、お元気でね。日本のためにしっかりやってください」

神学生は煤けた頬をオールド・ローズ色に染め、足を踏みかえながらもじもじしている。

「なにかご用なの」

神学生は眼を伏せながらしどろもどろにいった。

「ちょっとおねがいが」

そらきた。水を貰うなら、近いところにもっといい井戸がある。あたしの家へくるのはチトへんだと思っていたが、案のじょう、この兵隊さんはあたしに御座っていたんだ。