Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいこん

だいこん

久生 十蘭

Leggi だいこん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 153.732 caratteri · 303 schermate

Aozora Bunko

「エラールのピアノははじめてだぞ」

椅子に掛けて八十五鍵を低音部から素早くひと撫ですると、いきなりバッハの〈平均律洋琴曲ハ長調フーガ〉をひきだした。

なんといううまさなんだ。この曲はジルさん(ジル・マルシェックス)がサール・プレーエルで奏いたのを聞いたことがあったが、その兵隊さんのほうがずうっとうまかった。だいこんなんか百ぺん鯱っちょこ立ちしたって及ばない。鶏の首のようにおちくぼんだ襟足をあっけにとられてながめていると、ラヴェルの〈スペインの時〉とファリアの〈火の鳥〉をあっさり奏いて、ありがとうございましたとお辞儀をしてぽくぽく帰って行った。

日本には、兵隊さんのなかに、ただの一兵卒のなかにこんなすぐれたひとが無数にいる。満寿子さんはファシズムが敗けたので、日本人が敗けたんじゃないといっていたが、その意味はあたしにもわかるような気がする。

病気をしたり、肺をぶちぬかれたり、兵隊の廃品になってあまされてかえってきた四代目クラブのひとたちにしたってそうだ。六右衛門さんの家をクラブにして、お講義をきいたりご法話をきいたり、朝食会で〈お好み焼〉をやったり、もっぱら煙霞療養に専念しているので、〈サボ・クラブ〉などと悪口をいわれているが、ヒラの二等兵だった六右衛門さんにしても、長謙さんにしても、村井の陸さんにしても