Classici giapponesi con furigana
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ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
Leggi ちくしょう谷 (ちくしょうだに) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.788 caratteri · 138 schermate
――酒を飲んで気焔をあげるとか、剣法について講話をするというわけではない。茶を啜り菓子をつまみながら、話したい者は勝手に話すし、聞きたい者は聞いていればいい、議論の始まることもあるし、それが昂じて喧嘩になりかかる場合もある。しかし隼人がひと言なにか云うと、それだけで議論にけりがつき、座はまたなごやかな空気に戻る、というぐあいであった。
両親のない乳呑み子を見るような、やわらかな温かみのある隼人の眼を見、口数少なにゆっくりと話す隼人の声を聞き、静かな力感のあふれた隼人の躯を身近くに感じていれば、それでかれらは満足するもののようであった。
年があけて二月になった或る夜、これらの者が帰ったあとに、根岸伊平次という若侍が残った。根岸は二十一歳、道場の門人であるが、家は八百石の老臣格で、すでに家督をし、妻と二歳になる子があった。
「じつはまえからいちどお耳にいれようと思っていたのですが」と伊平次は低い声で云った、「織部どのと西沢とのはたしあいには不審な点があるのです」
隼人は伏し眼になり、ぐっと顎をひき緊めたが、なにも云わなかった。
「検視のときに医師も立会ったのです」