Classici giapponesi con furigana
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
Leggi ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 85.196 caratteri · 169 schermate
その六 入の波
その六 入の波
「で、今度の旅行の目的と云うのは?―――」
二人はあたりが薄暗くなるのも忘れて、その岩の上に休んでいたが、津村の長い物語が一段落へ来た時に、私が尋ねた。
「―――何か、その伯母さんに用事でも出来たのかい?」
「いや、今の話には、まだちょっと云い残したことがあるんだよ。―――」
眼の下の岩に砕けつつある早瀬の白い泡が、ようよう見分けられるほどの黄昏ではあったが、私は津村がそう云いながら微かに顔を赧くしたのを、もののけはいで悟ることが出来た。
「―――その、始めて伯母の家の垣根の外に立った時に、中で紙をすいていた十七八の娘があったと云っただろう?」
「ふむ」
「その娘と云うのはね、実はもう一人の伯母、―――亡くなったおえい婆さんの孫なんだそうだ。それがちょうどあの時分昆布の家へ手伝いに来ていたんだ」
私の推察した通り、津村の声は次第に極まり悪そうな調子になっていた。
「さっきも云ったように、その女の児は丸出しの田舎娘で決して美人でも何でもない。あの寒中にそんな水仕事をするんだから、手足も無細工で、荒れ放題に荒れている。けれども僕は、大方あの手紙の文句、『ひびあかぎれに指のさきちぎれるようにて』