Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ちゃん

ちゃん

山本 周五郎

Leggi ちゃん di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.377 caratteri · 45 schermate

Aozora Bunko

こうなったら、泥棒にでもなんでもなってやる、押込みにだってなってやる、みていやあがれと思い、「五桐」の店を出るなり、見かける酒屋へ寄って立ち飲みをした。三軒で冷酒のぐい飲みをし、お蝶のところにさっときりあげたが、「源平」へいってから酔いが出た。

自分では酔いが出たとは、気がつかなかった。勘定日の夕方だから客が混んでいて、その中に一人、重吉の眼を惹く男があった。年は四十五、六だろう、くたびれた印半纒に股引で、すり切れたような麻裏をはいている。顔も躯つきも、痩せて、貧相で、つきだしの摘み物だけを肴に、小さくなって飲んでいた。――

重吉は胸の奥がきりきりとなった。その客はこの店が初めてらしいし、自分が場違いだと悟っているらしく、絶えずおどおどと左右を見ながら、身をすくめるようにして飲んでいた。重吉はその男が自分自身のように思えた。隣りの客に話しかける勇気もなく、小さくなって、一本の酒をさも大事そうになめている恰好は、そのまま、いまの自分を写して見せられるような感じだった。

「おかみさん」と彼はおくにを呼んだ、「奥を借りてもいいか」

「ええどうぞ、そうぞしくってごめんなさい」