Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つぼみ

つぼみ

宮本 百合子

Leggi つぼみ di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.918 caratteri · 44 schermate

Aozora Bunko

そして、ひろく、はてしもなくある内海の青い色と御台場の草のみどりと白い山のような雲と、そうした気持の好いものばかりを一生県命に見つめて居る。私の目の力がいつにもまして強くなったように、向ーに、ちょっピリとうかんで居る白帆から御台場の端に人間が立って居るのまで見える。涼しい風は夕暮の色をはらんで沖から流れる潮にのって来る。「何ていいきもちなんだろう」私は大きい声で云ったら、このおだやかさとしずかさのいい気持がとんで行っちまわないかと思われた。それで小さい自分にだけきこえる声で云った。

まっさおの海の中に謎のようにある御台場のあの青草の中には蕾をもってるのも有るだろうし小っぽけな花のあるのも有るんだろう、キット。行って見たい事、前にもやしてある小舟を見てそう思いながらあのはじっこに坐って波のささやきと草の香りにつつまれて歌でもうたったらまあどんなに。

私の頭ん中にはいろんなとりとめもない空想やうれしさがわき上った。白帆が一分動いたと見ると御台場の草の色がちがって半分は黒っぽく半分は前よりもみどりになって雲の山はくずれて帯を渡したよう。帯が又きれぎれに人の形になった時には、白帆はもう見えずに汽船の煙が御婆さんの帯の色をして棚引き御台場はすっかり青く、私の居るところにはうすいかげが出来る……