Classici giapponesi con furigana
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つぼみ
つぼみ
宮本 百合子
Leggi つぼみ di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.918 caratteri · 44 schermate
こんな変りの多い、大きい、とりすましたような又不邪気な海の中に自分もとけ込んだように波が一つゆれれば自分も一つ、あっちが二つうごけば自分も二ついろんな事がみんな私と一緒に動いて居るように思われた。
私はいつにない、華な水色のような心持で越後獅子のうたをうたった。長い振の着物を着て黒い髪を桃割にでも結って居る娘のような気持で……
見ている内にいかにも夕暮らしい日光になって来た。いつの間にか前の川、鉄道の線一つを海からはなれて居る川に年とった船頭の舟が入った。入日の光をあびて赤鬼のようになった爺は舟の底から掃除の道具をとり出した。大きなブラッシのようなもの、それを水につけてはともからみよしまで丁寧に自分の可愛がっててやる馬に水をあびせる時のように、かるい心地のいい音を立てて水のしぶきをかがやかせながら洗い始めた。黄金の川面からブラッシについて落ちるしたたりは黄金のしずくのようで舟も又それと同じにかがやいて居る。黄金の舟に、黄金の水、はだかんぼうな赤鬼はその上を走り廻って居る。……まるで草紙の中の插絵のような有様を、海の色も空の様子も忘れはてて見入った。