Classici giapponesi con furigana
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へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
Leggi へちまの木 (へちまのき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.120 caratteri · 58 schermate
三
「そんなことよりも」と房二郎が云った、「あの木谷桜所と木原桜水の二人はなに者だい、木内さんとおれは朝から夕方まで、ずっと記事部屋に詰めっきりで、あることないこと書きどおしに書いてるのに、あの二人は好きなときに顔を出して、ちょっとした短けえ記事を放り込んで、勝手にさっさと帰っちまう、あれはどういうことなんだい、木内さん」
「二人はかけもちなんだ」と木内が云った、「瓦版屋を幾軒かかけもちにしていて、記事によって高く買う店と、安く買う店をうまくこなしてるのさ、文華堂へ持って来るのは安いほうのくちだが、その代りおれたちは、外廻りをしなくっても済むってえわけさ」
「だって売り子が記事のたねを持って来るじゃねえか」
「記事の取りかたが違うんだよ」と木内が云った、「房やんが今日書いた、深川の親子心中だって、――まあいいや、そのうちにわかってくるさ」
三
「だろうさ」と房二郎がやけになったような口ぶりで云った、「人間としをとればいろんなことがわかってくる、わかるにしたがって世の中がどんなにいやらしいか、人間がどんなにみじめなものか、ってことがはっきりするばかりだ」
「生きてくってことは冗談ごとじゃあねえからな」