Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

Leggi へちまの木 (へちまのき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.120 caratteri · 58 schermate

Aozora Bunko

と呟き、掻巻の中へ顔を隠した。

どうして自分の部屋へはいったか、房二郎にはまったく覚えがなかった。肩をゆすられて眼をさますと、枕許におるいがいて、湯呑茶碗を彼にすすめた。

「これを飲んで」とおるいは云った、「いやだろうけれど、宿酔には迎え酒がいちばんきくんですって、鼻を摘んでもいいから飲んでごらんなさい」

房二郎は起き直って、その湯呑を受取ったが、燗をした酒の匂いを嗅ぐなり、胸がむかむかし、危なく嘔吐しそうになったので、顔をそむけながらおるいに返した。

「それじゃあ今日は休んでゆっくり寝ていらっしゃい」

「そうします」房二郎は横になりながら云った、「誰か人を頼んで文華堂へそう届けさせてくれませんか」

「いいじゃないの、そんなこと」おるいは掛け夜具を直してやりながら云った、「あんないやらしいお店なんかやめておしまいなさいよ」

「やめてどうします」

「ゆうべは乞食になればよかったって仰しゃってたわ」とおるいが云った、「その気にさえなれば、あなたはなにをなすっても、きっと人の頭に立つ仕事をものになさるわ」

「そんな者にはなりたくないな、山へでもはいっちまいたいよ」

「なに云ってるの、まだ世の中を覗いたばかりの若いくせに、さあひと眠りなさい」