Classici giapponesi con furigana
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へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
Leggi へちまの木 (へちまのき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.120 caratteri · 58 schermate
すぐですからねと云って、おるいはいそぎ足で出ていった。木内桜谷はにやにやしながら、まるで夫婦のようだな、と云った。房二郎はその向うへ坐り、片手を出して、その盃を貰おうと云った。
「だめだね」木内は首を振った、「すきっ腹に酒は毒だからな、ごしんぞの云うとおりだよ」
「そんないやみは痛くも痒くもねえ」と云って房二郎はひょいと眼をあげた、「忘れていたが、記事のたねを金にするとはどういうことだ」
「考えないほうがいい、あんたにはできっこもなし、やらせたくもないこった」
「けれどもおれだって、生きなくっちゃならねえからな」と房二郎が云った、「できたら記事屋としてやってゆきてえし、そのために必要ならなんでもするつもりなんだ」
おるいが盆を持ってはいって来、房二郎の膳を出すと、ゆきひらと茶碗、梅干の小皿と箸を並べ、お待ち遠さまと云った。房二郎は自分でやるからいいと云ったが、おるいは相手にせず、卵の入った粥を茶碗に取り、房二郎に渡した。彼は木内桜谷に、ちょっと待ってくれと云い、箸を取りあげた。粥の匂いを嗅ぐと、にわかに腹が減ってきたのである。粥は塩かげんもよく、卵も半熟で、こんなにうまい物があるだろうかと思いながら、房二郎は茶碗に二杯たべた。