Classici giapponesi con furigana
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へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
Leggi へちまの木 (へちまのき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.120 caratteri · 58 schermate
膳の上にはあん掛け豆腐と、鶉の椀と、香の物が並んでいた。彼は鶉の椀を取って一と口喰べ、うまいなと云ったが、あとは喰べずに膳へ戻し、盃の酒を啜った。
「部屋賃を溜めているうえに、返すあてもない小遣いを貰い、こんな馳走をぬくぬく喰べるなんて」と房二郎は頭を垂れて、いかにも恥ずかしそうに云った、「おれはよっぽどのへちまの木だ、犬にでもなっちまいたくなったよ」
「あたしが好きでしているのに、自分を咎めることなんかないじゃないの」
「それはおばさんの気持だよ」
「まあ、おばさんは可哀そうよ」と云ってから、おるいは二人のとしの差に初めて気づいたとみえ、微笑しながら頷いた、「そうね、あなたとは七つもとしが違うんだもの、おばさんに相違ないわね」
「そんなつもりじゃあないんだ、ただ呼びようがないもんだから」
「いいのよ」おるいは美しい顔でまた笑ってみせた、「あなたはあんまりこまかく気を使いすぎるわ、もっと気を楽に、自分でしたいようになさるほうがいいのよ」
「済まないけれど寝させてもらうよ」
房二郎は不安定に立ちあがり、おるいがいそいで、ちょっと待ってと云いながら、立って彼を支えた。