Classici giapponesi con furigana
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へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
Leggi へちまの木 (へちまのき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.120 caratteri · 58 schermate
と房二郎は云った、「家出をしてっからこっち、横っ面をはられるようなことばかりだった、うんざりしたよ」
「そこいらから始まるんだな、苦みや甘みや辛みを、一つ一つあじわいながらな」と木内は云った、「あんたは敷居を跨いだのさ」
「敷居だって」
「おとなの風に当ったということさ」と云って木内桜谷は声を出さずに笑った、「房やんはおくてだよ」
「おまえさんの敷居や風がどんなふうだったかは知らない」と房二郎は云った、「けれどもおれの跨いだ敷居や、初めて吹かれた風は、おまえさんのものとは違うよ」
「みんなそう思うらしい」木内は書き物を続けながら云った、「人間ってやつは誰しも、初めての経験は自分だけのものだとね」
「そうしてだんだん驚かなくなるんだな」と房二郎は云った、「――そして、ああきれいだとか、哀れだとか、かなしい、いたましいと感じることもなくなるんだろう、考えただけでもぞっとするよ」
「まだ自分の知らないことを考えると、恐ろしいような、いやらしいような、きたならしいように感じるものさ」と木内が云った、「そのくせ、そういう未知のものごとに、触れてみたがるのが人間っていうやつさ」