Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

Leggi へちまの木 (へちまのき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.120 caratteri · 58 schermate

Aozora Bunko

と男は云った、「こんどうちから、評判のいい小料理飲み屋の番付を出すことになった、この沢茂ってえ店はうまい物を食わせると聞いたから、それでためしに寄ってみたんだ」

「まことに相済みません」とあるじは続けさまにおじぎをし、頭のうしろを掻いた、「こんなしくじりは初めてでして、いつもお客さまにはよろこんでいただいているんですが」

「もういい、勘定をしてくれ」

「いいえとんでもない、お気に入らない物を差上げて、あっしのほうからお詫びをしなくちゃあなりません」

「よしてくれ」と男は高い声を出した、「おらあ勘定をふみ倒す気で文句を云ったんじゃあねえぜ、この沢茂の名を思えばこそ」

「まあ親方」と中年増の女が出て来た、このうちの主婦だろう、小さな紙包みを持っていて、それをすばやく男の袂に入れた、「どうか親方、お勘定の心配なんぞなさらないで、いつでもお好きなときにいらしって下さい、その代り」と云って彼女はあいそ笑いをした、「――瓦版のほうはよろしくお願い致します」

「親方」と房二郎が呼びかけた、「いや、おまえさんだよ、文華堂の親方、木内桜谷さんとかいったね」

男はぎょっとしたように振り返った。