Classici giapponesi con furigana
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ほととぎす
ほととぎす
堀 辰雄
Leggi ほととぎす di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.252 caratteri · 60 schermate
そんな事位でこちらの心をお疑ぐりになるのを反って殿にお怨み申したい――そう自分でありたいと思うような気もちには、しかしどうしても今の私はなれなくなっていた。自分の心が既に殿からはこんなにも離れてしまっているのかと思って、私はみずから驚いた位だった。
私はそのまま悔やしそうに、その殿の手紙の裏に何んと云うこともなしに散らし書きをし出していた。こういう今の自分の何もかもを引括めて自嘲したいような気もちにしかなれずに。――
いまさらにいかなる駒かなつくべき
すさめぬ草とのがれにし身を
私は殿には返事を差し上げる代りに、そんな歌だけ書いてお送りする事にした。それを道綱に持たせてやった後も、しかし私はいつまでも自分の裡に何物に対するともつかない、果てしない不満のようなものが残っているのをどうしようもなかった。
頭の君はこの頃も相変らず、何かと言っては道綱を呼びに寄こしたり、又遠慮がちに道綱のところに御自身でも入らしったりなすっているらしい。頭の君はこんどの事は何も御存知ないのだから、別にかれこれ言うこともないので、私はそのまま勝手にさせておいた。そのうち五月になった。