Classici giapponesi con furigana
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ほととぎす
ほととぎす
堀 辰雄
Leggi ほととぎす di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.252 caratteri · 60 schermate
――こういう物忌がちな長雨頃の、そういう若い人達の、何処へも持ってゆき場のない、じっとしていたくともじっとしていられないような気もちは私にもよく分かっていた。そればかりではなかった。私は絶えてここ数年というもの感じたことのなかった、そういう何処へも持ってゆき場のないような気もちを、撫子なんぞのために思いがけず蘇らされたようで、――しかし、今の私にはその昔日の堪え難さそのものさえ、それと一しょにそれが自分の裡に蘇らせるもののためにか、反って不思議になつかしい気のするものだった。私はそういう心もちに誘われるがまま、一人きりで端近くに出ては、雨にけぶった植込みなどをぼんやりと見入っていたりする事が多かった。まだ殿もお通いにならなかったような若い頃、よく自分がそうやっていたように……
そんな長雨のつづいている間の、すこし晴れて、どことなく薄月のさしているような晩だった。
きょうはひさしぶりの雨間に、さっきから頭の君が道綱のところに来ていられたようだったが、そのうち知らない間に一人でこちらへ入らしってしまわれた。そうしていつもの縁の端に坐られて、例の撫子の事、いつまでもこうして一人でいなければならぬ苦しさなんどを、何かと私にお訴えになり出した。