Classici giapponesi con furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Leggi みなかみ紀行 (みなかみきこう) di 若山 牧水 (わかやまぼくすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.087 caratteri · 203 schermate
私は次第に興奮して、終には小さな声に出して、いま写している自分の歌をうたい始めた。
其処へ、次ぎの部屋から友人が顔を出した。黙ったまま私のゆびさす戸外を見て、彼も急に眼を瞠りながら、そっと庭へ出て行った。そして永い間、帰って来なかった。
夜が次第に明けそめた。私も、大抵で諦めて、為事の机を片附けた。そして友を探すともなく戸外へ出た。月はいつか、湖心を去って、うしろの山の端近く移っていた。そして、先刻は見なかった陰影が山々の襞に生れていた。ことに、湖に浸った麓の方に、それが深かった。
何処からとなく薄い靄が水のおもてに動きそめた。山の方にも、ところどころにそれが見え出した。またたくうちに、どちらからとなくそれらが落ち合って、やがて湖も山も、すべて姿をまっ白い中に消してしまった。
宿の庭から、モーターボートのための小さな桟橋が湖の中へ設けられてあった。その端にしゃがんで、飽くことなく煙草を吸って居る私のめぐりの水の上に、無数のかすかな音が聞え始めた。靄がぴったりと水のおもてを閉ざしてしまうと、急に其処にも此処にも魚が跳び始めたのである。ちょぴっ、ちょぴっ、ちゃぽん、ちゃぽん、と実に数かぎりないその音が、さながら俄雨でも降り出した様にあたり一面の水の面に起ったのである。