Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Leggi みなかみ紀行 (みなかみきこう) di 若山 牧水 (わかやまぼくすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.087 caratteri · 203 schermate

Aozora Bunko

また、思いもかけぬ高い山の腹に炭焼の煙の立っているのをも見出すことがあった。歩きながら一二首の歌が出来た。

冬山に立つむらさきぞなつかしき一すぢ澄めるむらさきにして

来て見れば山うるしの木にありにけり樺の林の下草紅葉

声に出してそれを歌ってみると、友人はひどく昂奮して讃めて呉れた。

「これは佳い、この調子だときょうは珍しく出来るかも知れませんね」

身体の具合を損ねて以来、私はまったく久しい間歌らしい歌を作らずにいたのであった。そう云われてみると、これらを皮切りに今日は何だか詠めそうな気もして、我にもなく私まで珍しい昂奮を覚ゆるのであった。

峠には一軒の茶屋があった。其処で私どもはお別れの杯を挙げ、女たちは早昼のお弁当を使うということになった。肴には幸いにも串のままの岩魚が囲炉裡に立ててあったので、それで燗をぐっと熱くして一杯二杯と飲み始めた。十月初旬でも其処等の山中はもう充分に寒かった。それに別盃というので自然飲む速度も早く、酔うのも早かった。ツイ自分の横手の障子に暖く日影のさしているのを見ながら、お蔭さまで山の淋しさにも多少は馴れた、これからはゆっくり心を据えて湯治をしようとか、この次ぎにはいつ何処で逢うのかね、などと云っていると私の心には何とも云えぬ或る落ちついた寂しさが萌えて来た。