Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Leggi みなかみ紀行 (みなかみきこう) di 若山 牧水 (わかやまぼくすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.087 caratteri · 203 schermate

Aozora Bunko

父母よ神にも似たるこしかたにおもひでありや山ざくら花

そうした山あいの郷里を出て来てから十七八年たっている。その間におりおり思い出す郷里のことは、年のたつに従って種々の事情と共に私にはあまり香ばしからぬ心持をのみ起さしめる様になって来た。それでも不思議にその谷間から仰ぎ馴れていた山ざくらに対してだけは寧ろ年ごとになつかしい追懐を深めてゆく傾向があるのである。十七八年の間に二三度帰国はして居るが、いつも惶しい時間であったり、その花の咲く季節でなかったり、心ゆくまでそれに向うということを一度もようしていない。いつか一度ゆっくりその花の頃を選んで帰国したいと思いながら次第に年を重ねて来ている。そしてその季節に逢うごとに、オ、もうあの花が咲くのだなア、とその面影を心に描くのが常となっている。

一体桜には非常に種類が多いとかで、東京近郊に咲くのだけでも何十種とかに上るそうである。専門的の詳しい事を私は知らないが、此処に謂う山桜は花よりも早く葉が出て、その葉は極めて柔かく、また非常にみずみずしい茜色をしている。花の色は純白、或は多少の淡紅色を帯びているかとも思われる。