Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
足元の明るいうちに、さっさと帰れ、帰れ!」と今度は痩せた女が、そう罵ると、見物の方を向いて哂って見せた。
――足許はとっくに暗えや、日が暮れてるぞ! 帰る家がなかったら俺ん家へ来い。ただで泊めてやらあな。」と見物の一人が怒鳴った。それで、見物人たちは、一斉に笑い出した。
――全くしぶとい小娘だ。服装こそちゃんといい服装をしているんだが、不良少女なんて図々しいもんだな。」と主人らしいのが感心したように云った。
すると、水兵服の娘は突然顔を上げて井深君を見たのである。恰も井深君が其処に見物人たちの後から覗き込んでいるのをはっきり知っていたかのように。――(けれども、部屋の中は明るくて戸外は暗いのだから、井深君の方では見たと思っても先方では見えなかったかも知れない。まして井深君が其場に居合せたことに気の付こう道理なぞはないのだが、何しろあまり突然に、ぴったり二人の眼が出会ったのだ)青ざめて、眼が先の広がった睫毛まで泪に輝いて、可愛らしい輪廓をもった顔である。井深君は、そこで危く声を上げようとする程驚いた。突然見つめられたためばかりではない。井深君は、実に其処に自分の恋渡っている少女と他ならぬ少女を見出したのである。