Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
『身代りに? ――わからない。』
『左様――たしかに中根は僕の身代りに立ったのです。と云うのは、恰度その時の場面は僕の扮したある青年が順子の扮しているある若い女に嫉妬のためピストルで撃たれると云う筋なので、脚本通りに演れば無論僕は本当に撃ち殺されていたのです、所が、その時ヒョイと、しかも中根自らの思いつきで、射撃する瞬間の順子の大写を其処に※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)むことになったのでした。哀れな中根は自分で引金をひいたも同然、見事に額の真中を射ぬかれてしまいました。』
『併し……ただそれだけの事で、どうして君の命をねらう曲者がある――と仰言るのでしょう? ――どうしてそんな事を云われるのです。ほんの何かの不幸な偶然から、そのピストルに実弾がこもっていたのかも知れないじゃありませんか。』
『いいえ。中根の心の中からこそ恐しい偶然は飛び出しましたけれど、ピストルには、少くともピストルだけには如何な意地の悪い偶然だってひそみ得るスキはなかったのです。その一時間程前に、僕自身がその武器の空弾の装填をしたのですからね。