Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
それはまるで、大きな機械にでも巻きこまれた様な、急激な勢で闇のなかへ消え去ったのでした。僕は思わずぶるぶるっと身を震わして二三歩あとずさりをしました。そして再び窓ぎわにかけ寄ってガラス戸を押し開いてみた時には、もはや、戸外の闇の中には何ものの気はいもありませんでした。ただ、犬がこの時またひとしきりはげしく吠えはじめていたのが、怪しいと云えば怪しかったかも知れません。(――清水茂は異常な恐怖に迫われているらしく顔色を蒼白に変えながら語った)……はて、これは訝しなことがあるものだ。気の迷いかしら、それとも揺椅子でぬくもりながらついウトウトとしてしまって夢をみたのかしら――酒と阿片とでいい加減狂いかけている俺の頭だもの、その位の気の迷いや夢がないとも云えない――が、併しそんな風に簡単に思いなしてしまうには、どうもすべてがあんまりまざまざとし過ぎている。雨の音だって、犬の吠え声だって前後とちっとも変らない明瞭さで聞こえていたのだし、それに彼奴の恨めし相な凄い顔! いや、どうして気の迷いや夢とは思われん……むしろ幽霊を信じた方がもっと間違いがなさ相だ……おやおや、俺はひょっとしたら本当に気が狂いかけているのかも知れないぞ! ――と、そんな風に僕はそれこそ本当にその場で狂気でもし兼ねない迄の気持になってしまいました