Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
そして少からず疲れたので、まだ時刻は早かったが、と云っても十二時は廻っていたのですが、そろそろ切り上げて帰ることにしました。と、階段わきのクロークルームの前でぱったり、ピエロの仮装をした少年紳士の郁さんに出遇ったのでした――郁少年の事はたしかまだお話し致しませんでしたね。彼は僕が上海に来た当時からひと方ならず親しくしていたこの都の若い金持のお坊っちゃんで、絵――洋画を大変上手に画くハイカラな美少年でした――で、郁少年はこの時初めて、僕の帰国することを知って、さまざまと残念がりました。僕も何だかついつり込まれてひどくセンチメンタルな気持になってしまいました……実際また郁少年はいかにも支那の金持のお坊っちゃんらしい素なおなやさしい若者であったのですからね。そしてそこで彼は、記念にと云って僕の着ていたサムライの衣裳を所望したのです。勿論僕は快く彼にそれを与えた上、さらに、恰度持ち合せていた阿母の片見の金側時計、古風な厚ぼったい唐草の浮彫のしてある両蓋の金側時計を副えて贈りました。彼は僕にそのしゃれたピエロの服をくれました――それから間もなく僕たちは郁少年と別れて霞飛路の宿へ帰って行ったのでした。