Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
そこで、ピカピカに爪先を光らして揃えてあった編上靴を穿きかけたのですが、どうしたものか却々手間どれるのです。
『もう、九時を廻って居てよ。早くなさらないといけないわよ。』
『うん。だって、今朝は随分早そうな陽の色なもんだからそれに、どうしてこう人通りが少いのだろう。エンミイは時計の針をやたらに、廻して置いたんじゃないかい?』
『疑う?』
『やっぱり早過ぎるんだろう。漸く七時半位のものかな。でも、どうせ今日は繰り越し仕事が溜っているんだから、偶には早出も信用を取り返していいだろうさ。……おや! どうも先刻から此方の足が入らないと思っていたら、両方とも右足じゃないか! ちえッ、四月の馬鹿野郎め! 御丁寧に古靴なんか持ち出しやがって!……』文太郎君は三和土の上に靴を投うり出すし、エミ子さんは仏蘭西鳩のような声を出して笑いました。恰度その折から、電話のベルが鳴りました。
『ハイハイ。こちら兎沢でございます。……おや、山崎さん、お早ようございます。ええ、ただ今、靴をはいているところで……文ちゃん、何を寝ぼけたことか、こんなに早々と、おホホホ……。え? 何でございますって? 今日会社お休みですって? まあ、いいえ、ちっともそんなこと申して居りませんわ。