Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
窓のその白い顔は、ちょっとY君の方を見ただけで、すぐまた奥へ隠れてしまった。犬を呼んでいる男の子の声がした。しばらくすると、二階でピアノが鳴り初めた。チャイコフスキイのバルカロレである……
Y君は、それからまた一時間も、じっとそのまま動かずにいた。
もうすっかり夜になった。
やさしい窓に薔薇色の灯がついた。
そして薄いレースの窓帷を時々優雅な人影が横切った。
公園にはアーク・ライトがともった。夜の女の群れが、その中を近づいて来た。
『ちょいと、意気な龍騎兵の士官さん。あたし未だやっと十三になったばかりなのよ――』と、抜け落ちてしまって一つかみにも足りない髪を、大きな鴇色のリボンで結んだ女が云った。
Y君は、そこで、もうこちらの姿を見咎められるおそれもなかったので、威勢よく立ち上がって、窓に向って別れの敬礼をすると、剣と拍車とを鳴らしながら帰って行った。……
Y君の休日の日課があらためられた。恋しい人の映画が掛っている時なら、それを見に行くことは云う迄もないが、それは必ず昼の中に切り上げて、夕方からは彼女の住居をよそながら眺めるために、公園へ散歩することにきめた。