Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
「お前も、ちっと位僕を泣かしてくれたっていいよ。」と彼は云った。
次の土曜日の夕方だった。
Bの細君が、帝劇にかかったニナ・ペインのアクロバチック・ダンスの切符を二枚もってAの細君を誘いに来た。
だが、生憎Aの細君は、歯医者へ行く旁々街へ買物に出たばかりで留守だった。帰るのを待っている程の時間がなかった。
「B君は行けないのですか?」と、一人で蓄音器を鳴らしていたAが訊き返した。
「調べ物が忙しいし、それにあんまり好きじやありませんの。」
Bの細君は、派手な大きな網の片かけの房につけた鈴を指さきで、ちゃらちゃらさせながら、鳥渡考えてから云った。
「Aさん、あなた御一緒して下さらなくて?」
Aは多少極まり悪そうだったが、切符を無駄にするのは勿体ないと云うので、お供をすることにした。
「本当は僕だって、切符を買うつもりだったんですが、女房がちっとも賛成してくれないもんだから……」
Aは、いそいそと上衣を着換えると、細君へ一言書き残した紙片を茶卓の上へ置いて出かけた。
帝劇の終演が思いの外早かったので、彼等はお濠ばたを、椽の並木のある公園の方へ散歩した。アアチ・ライトの中の青い梢が霧に濡れていた。