Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate

Aozora Bunko

途中の汽車の中で、Bは偶と、細君に向って、こんなことを云い出した。久し振りで不精髯を剃ったので、平生より余計蒼白く骨ばった顔をしたこの生物学の教師は、支那人のように無愛想な笑いを浮べながら、

「Aの細君は、お前たちのことを、やっと今になって感づいたのかな?」

Bの細君は忽ち蒼ざめてしまった。

「あたしたちのことを※(疑問符感嘆符、1-8-77)」

「そんなに吃驚するところを見ると、お前は僕迄騙していたつもりらしいが、実を云えば、僕なんか、或はお前たち自身よりも、もっと早くお前たちの今日を気がついていたかも知れないのだ。」

「まあ、何てひどい!」と彼女は、泪を流して、併し人目を憚って泣声を噛み殺しながら云った。

「あなたは、あたしを罠に落そうとなさるんですか? どんなに確かな証拠があって――」

「そう、たった一ぺん、こないだの晩、Aの家のポオチでお前たちが接吻し合っているのを見たきりだが、併し、Aが自分の女房よりお前の方を余計愛していることや、お前が僕よりAを愛していることは、そんな他愛もない証拠などを云々する迄もなく、誰でもお前たちの様子を一目見さえすれば納得が行くに違いない。