Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
晃一と幸子との結婚式の折には、旻はもう肺病になって海岸へ転地していたのだが、わざわざ出て来て席に連なった。
――三人とも子供の時分は本当の兄弟だと思っていたんだがね。」
病気窶れがして寂しい頬の色だったが、旻は新夫婦の顔を見比べて、そう云って笑った。
2
その秋に入って、旻の病勢は頓にすすんだ。
それで幸子は夫の同意を得て、義弟の看護のために別荘に逗留することとなった。晃一も殆ど毎度の週末には泊りがけで遊びに来た。
旻にして見れば兄夫婦が、それこそ唯一つの身内だったのでこの上もなく喜んだ。
幸子は寝食を忘れて病人の看護につくした。
病人は、海にむかって硝子戸を立てめぐらした座敷で、熱臭い蒲団に落ち込んだ胸をくるんで、潮風の湿気のために白く錆びついた天井を見つめた儘、空咳をせきながら、幸子の心づくしに堪能していたが、それでも覚束ない程感動し易くなっていたので、時々幸子を手古摺らせた。
――僕は幸子さんにそんなにして貰うのは苦しい。いっそ死んでしまい度いよ。どう考えたって、僕なんてのは余計者なんだからね。」
――そんなことを云うと、あたしもう帰ってよ。