Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
『ですから、あなたが、やっぱり恋をなすっていらっしゃるのが事実なら、その相手をはっきり仰有って頂き度いのですわ。殿方からそんなに強く愛されることが、どんなに幸せか、そりゃあ、妾にしたって解り過ぎる程解って居ますわ。でも、何しろ、肝心な妾の方にはそんな心当りはちっともないのですし、ひょっとそんな闇雲な己惚れを出して、それこそ如何な辛い恥をかかなければならないかも知れないし。……それに、お嬢さまは、ああ仰有るものの、下士官が天下の名女優に恋をしていけない道理もありませんわ。』
『いやいや、飛んでもない。そんな大それた願いを、どうして僕が抱くものでしょうか。は、は、は、は……』Y君は、自分がみじめなピエロに過ぎないことを感じた。
『それでは、まさか――』娘は眼を瞠った。
『そうです、野菊のように可愛らしい娘さん。僕の想いを寄せる女が、貴女の外にあって堪まるものですか! 神かけて、嘘ではありませんよ、僕のベアトリイチェ。……ごめんなさい。何てお呼びすればよろしいのでしょうか?』
『そうよ。ベアトリイチェ。……でも、あなた、どうして妾を知っているの?』
娘は白々とアーク・ライトに濡れながら、不意に泪ぐんだ。