Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.043 caratteri · 56 schermate
こんなことで、この老人に、いつの間にか、『キャラコさんの恋人』というひとのわるい綽名がつけられるようになった。
三
槇子たちの組がおお騒ぎをしながら出て行ったあと、いつの間にか、『キャラコさんの恋人』も猪股氏もいなくなって、広い社交室の中にキャラコと従兄の秋作氏の二人だけがポツンと残されることになった。
部屋のなかは急にヒッソリとなって、今まできこえなかった小鳥の声がのどかにひびいてくる。
秋作氏は窓ぎわの椅子にかけ、いぜんとしてこちらへ背中を向けたまま、塑像のように微動もしない。キャラコさんは秋作氏のたくましい肩をながめながら、よくあんなに動かないでいられるもんだと思って、急におかしくなって、もうすこしで笑いだすところだった。
(小供が意地っ張りをしているような恰好ね。なにをあんなに考え込んでいるのかしら。……たぶん『黒いお嬢さん』と喧嘩でもしたんだわ)
秋作氏は長六閣下末弟の子で、従って槇子たち同様、キャラコにとっても従兄にあたる。早くから両親をなくして、苦労しながら絵の勉強をしている。沼間夫人いうところの『乞食画かき』である。
秋作氏は、銀行家の沼間氏も、虚栄坊の夫人も二人ながらだいきらいで、沼間夫妻をいつもあいつらという代名詞で呼んでいる。