Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.043 caratteri · 56 schermate
……潮吹岩へ行こうってボクを誘ったけど、ボク、つまんないからいやだと断ってひとりで帰ってきたんだ」
「お連れは、どなたと、どなただったの」
「知らないよ、ボク」
「知らないわけはないでしょう」
「別れるときはひとりだったよ。別れてからのマキの連れなんか、ボク知るものか、千里眼じゃあるまいし」
「じゃ、ひとりだったのね」
マヤ子は鼻で笑って、
「ふン、どうだか」
「なんです、ちゃんとおっしゃい」
「だから、どうだか、っていってるじゃないか、しつっこい!」
何をきいても、もう返事をしない。澄ました顔で肉の小間切れをいくつもつくっている。
沼間夫人は食堂の電気時計と自分の腕時計をたがいちがいに見くらべながら、
「いやだ……。ほんとうに、なにかあったんじゃないかしら」
キャラコさんは中腰になって、
「あたし、行って見ましょうか」
夫人は、白眼をキラリと光らせて、
「行くって、どこへ?」
「そのへんまで」
氷のような冷たい声で、沼間夫人がいう。
「よしてくださいね。あまり目立つようなことは、あなたにたのまなくても、いくらでも探す方法はあります」
キャラコさんは素直にあやまる。
「ごめんなさい」