Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
それにも拘らず、猿沢の持駒はますます多くなる風で、彼はそれを整理して一列に並べ、歩などは三個一山に積み重ねたりしていました。これは、歩は一山三十円だというわけでした。
それから盤面がどしどし変化し、二十分後には、駒をいくつも買った甲斐もなく、蟹江の王様はほとんど裸になってしまいました。蟹江は唇を噛んだり、低くうなってみたり、すっかり頭が充血して、あたりもはっきり判らないような風でした。盤面をぎろりと睨みつけたまま、うめくような声で訊ねました。
「金はいくらだね?」
蟹江の王様は王手がかかっていて、なにか強力な合駒が必要なのです。猿沢はちょっと考えて、そして落着いた声で答えました。
「金は、すこし高いよ。百十五円ぐらいかな」
「そりゃあ高いなあ。ちょっと高すぎるよ」
「でもそんな相場なんだよ」
「それじゃ訊ねるけれど、角なんかは?」
「角は百四十円で、飛車は、そうだねえ、百六十五円だ。王様は、これは持駒じゃないが、もし売るとすれば、二百五十円ぐらいに負けとこう」
「なに。二百五十円?」
そう言いながら、蟹江は猿沢の王様を、にくにくしそうに見詰めました。見詰めているうちに、その王将の駒が、ふと猿沢の顔に見えてきたのです。