Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
三元のことをサカナにして酒を飲むなど、いささかなまぐさすぎる感じもしたが、中山の語勢につられて、彼もすこしは力んでいるようであった。始めはそんな具合に酔いを殺して飲んでいたのだが、しかしだんだん廻ってくるにつれ、三元の所業などは、もともと彼に縁のない遠いものに思われてきた。
「仲間うちから強盗が出るようになって、おれたちも大したものだよ」
酔った心で思ったままを、彼は口走ったりした。中山は眼を光らせてそれを聞いていた。中山は彼より二つ年上で、ある週刊雑誌の編輯をしている。あまり有能ではないという話であった。若いときからの酒好きで、しらふのときでも鼻が真赤であった。顔の中央に鼻が真赤に凝縮しているのは、ちょっと異様な感じでもあった。
下着まで水に濡れた翌朝、彼が眼を覚ますと、鼻の奥や耳の底が不快に疼いていた。熱っぽい身体からは、かすかにどぶの臭いが立っていた。濡れた上着の内ポケットから革財布を取出すと、十円札が二三枚しか残っていなくて、ここにも強くどぶの臭いが残っていた。彼はそれを水で洗って、庭の日向に乾しておいたのだが、いつの間にか乾したところから見えなくなっていた。