Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
動き廻っているときは気が紛れて、現実にはげしく身を触れあっている気にもなるのだが、ひとりになってみて、気持がほとんど揺れ動いていないことに気がつくと、彼はその度にある不安にとらわれた。不安といっても、正体をつかみにくい、たとえば快感を伴わぬ射精のような、不透明な虚脱感であった。それがこの一週間ほどに時々おこった。しかしこの一週間というのは、彼に意識されただけで、本当はずっと以前から、何年も何年も前からつづいていたのかも知れなかったが。
それなのに、用事はあとからあとから起きてきた。枕に顔をつけて眠ろうとすると、何度となく眠りから呼び帰しにくるあの意識の小悪魔に似ていた。会合がいくつも重なったし、また三元のことでM精神病院にも行かなければならなかった。裁判にあたって精神鑑定を申請するために、一応その方面のことを問い合せておく必要があったのだ。それはあの夜、中山が発議したことであった。日を定めて、彼は中山と連れだって、M病院にゆくことになっていたが、その行程を利用して、中山は自分の週刊雑誌に精神病院見学記を書くつもりらしかった。M病院には知合いの医者がいたが、まだ連絡をとっていなかった。