Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
あの夜中山が三元の心情をしつこく問題にしたのも、三元の所業が中山にとって他人事でなかったからに違いなかった。その事は漠然と彼にも想像できた。三元と中山は古いつき合いで、気持の上でもほぼ同じコースを生きて来たと言ってよかったから。しかしあの夜、中山がその事で彼にからんだ気持は、彼には判らなかった。ただ彼は中山の赤い大きな鼻を、よごれた紅中の牌みたいな印象の風貌を思い浮べるだけであった。
(おれを突きとばしたのが中山だとすれば、その時あいつはどんな表情をしていたのだろう?)
そう考える度に、彼はへんに冷たい可笑しさが唇にのぼってくるのを意識した。その可笑しさのなかに、突きとばされた彼自身の恰好の滑稽さもふくまれていた。そしてそれはただの可笑しさだけであった。突き落した中山にたいする気持の働きかけは、彼の内部ですべて死んでいた。今残っているものは、水に濡れたことによる風邪、それに導かれた肉体内部の得体の知れぬ障害、それだけであった。身体のどの部分が狂っているのか、それを極めるのも物憂かった。長い行軍のあとのような疲労感が、この二三日昼も夜もあった。彼は一日中昏々と眠っていたいと考えるのだが、いろんな用事がむらがって起き、止むなく歩き廻ったり人に会ったりしなければならなかった。