Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
僭越というより、何かしら実質もなにも無い、へなへなしたようなやり方ばかりで、生きているような気がするよ、おれは」
中山とは雑沓する駅で別れた。
だるい身体をもてあましながら、家へ戻ってくると、彼は長者門をくぐって、白木の方へ降りてゆき、明日から蜆をすこし譲って呉れと頼みこんだ。白木は縁側に腰かけて籠に伏せた鶏を眺めていた。その鶏に食わせるために、白木が蜆を毎日どこからか持ってくることを、彼はもとから知っていたのである。花札をやっているとき、白木がふとその蜆のことを洩らしたことがある。特別に精のつく大型の蜆なのだそうであった。
「ええ。ええ。わけて上げてもいいですよ」
白木は籠の中の鶏から眼を離さず、そう答えた。雲を洩れたわずかな夕陽のなかを、鶏は頸を立て、鋭い眼でひとところを見据えていた。背の高さは、三尺ほどもある。白木は縁側にかけたまま、なにかいらだたしそうに呟いた。
「こればっかりが楽しみでね。もうこれ一羽になってしまった」
「勝負に出すのですか、これも」
「ええ。近いうちに千葉でやるんでね、それに出そうと思ってはいるんですよ」
もし勝ち抜けば数万の金が入るのだが、負けたら一文にもならない上に、すっかり廃鶏になってしまうのだ、と白木は静かな声にもどって説明した。