Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
翌朝、十一時頃まで朝寝して、起き出した時には、もう不破夫妻の姿は見えませんでした。朝立ちをしたものと見えます。飯を焚こうと台所に行くと、僕の飯盒の上に一枚の便箋が置いてあって、なかなかの達筆で、
『野呂君と仲良くしてやって呉れ給え。彼はしんからの好人物であります』
そう書いてありました。もちろん不破の筆跡です。僕と野呂という男の仲を妙に心配しているんだな。ちょっとそう訝っただけで、直ぐその便箋は折り畳んでポケットにしまいました。
野呂がやって来たのは、それから二三日経った正午頃でした。僕が板の間にイーゼルを立てて庭の写生をしていると、表の方で大八車の音が聞え、やがて跫音が庭に入って来ました。庭に入って来た男は僕を見て、少しおどろいたらしく立ちすくんだ。僕は絵筆を置いてそいつの顔を見ました。汗だらけのその顔にはあちこち疣がくっついていて、それがまず印象的でした。
「野呂君ですか?」
と僕は訊ねました。
「いかにも僕は野呂ですが――」野呂は訝しげに板の間をのぞき込みました。「不破さんは居ないんですか」
「不破さんは昨日兵庫県に立ちましたよ」僕も不審に思った。