Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
中山の手紙には、彼と同居して暮すのは厭だ、とはっきり書いてあった。
「三元が君と同居して、あんなことになったことを思えば、僕は君と一緒に暮すよりは、死人と同居する方を希望する」
そういう文句のあとに小さな字で、コレハ冗談ダ、とつけ加えてあった。文面によると、三元はすでに碑文谷署から身柄は小菅に移されている様子であった。公判の日時などが二伸に記されていた。彼は小菅刑務所がどこにあるのか知らなかった。しかし彼の想像のなかでは、ごみごみした家の露地のつきあたりに、その建物はうすっぺらな混凝土造りで立っていた。その中に入れられている三元の姿も、彼はある程度まざまざと想像できた。一枚の絵を眺めているような程度の実感がそこにあった。その中で三元は自分の膝をだいて、つめたい房のすみにじっとよりかかっていた。その姿勢は彼の想像にはっきりした輪郭でうかんでくるにも拘らず、三元の顔かたちだけはぼんやりとぼやけて、彼に想像できなかった。強いて想像しようとすると、それは中山の顔になったり、白木の顔になったり、発田の顔になったりした。三元の顔を忘れた訳ではなかったが、その情景にはうまく結びつかないのであった。