Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

――

翌日正午頃、彼は眼が覚めた。口の中が粘り、酔いがまだ残っていた。その癖よく眠れなかった。ことに窓が明るくなってからは、物音がたくさん入って来て、起きているのか眠っているのか分明しない状態で、うつらうつらと横になっていた。眼をあけるのに抵抗があったし、あけてもしばらく物が二重に歪んでいる。

水を飲むために体を起すと、番号を記した画用紙が、まず眼に入った。分厚い番号簿も、昨夜頁を開いたままで机上に乗っている。彼はむずと受話器をつかんだ。今の不快な状態の責任が、皆この番号簿のせいだという気がしたのだ。昨日と違った声が出て来た。

「話は当直から聞きました。なにぶん当人は今朝七時に帰社して、もう家に戻ってしまいましたので――」

「七時? 昨夜の電話じゃ、十一時頃という話だったのに」

声はくどくどと弁解を重ねた。自分はこの社の常務として、こんなことのないように、事ある毎に従業員に注意している。それなのにどうしてそんな不親切なことをしたのか、まことに申し訳がない。しかるべき処置を取るとおっしゃるが、それだけは勘弁して呉れ。明日当人が出て来れば、よく申し聞かせて置くから。