Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
ぐっと俺は押されて肩でおっさんの胸を押す。おっさんはあえいだ。
――にいさん、ちょ、ちょっと。押さ、押さないで。このリュックを……
そして又ぐっと来た。おっさんはその時は既に真蒼になっていた。俺だってどうすることもできやしない。反対側にかしいだ時おっさんは棒を掴み直して態勢をととのえようとした瞬間だった。突然強烈な反動がぐっと起り、俺も危うく扉口に抱きついた瞬間、力余った俺の肩がおっさんの身体を猛烈に弾いたのだ。あっという間もなかった。血も凍るようなおそろしい瞬間だった。おっさんの指は棒から脆くも外れ、必死の力で俺の外套の胸をはたいた。思わず俺は片手でそれをはらいのけたのだ。おっさんは獣の鳴くような声を鋭く残して、疾走する車体の外へぶわぶわと落ちて行った。俺は全身が燃え上るような感じで扉口にしがみつき、両足でしっかりリュックをはさみ込んでいたのだ。
――落ちたぞ。誰か落ちたぞ。
其処らで声が叫んだ。しかしおっさんが落ちたために、扉口の辺はいくらか凌ぎよくなったのだ。俺はまだふるえが止まらなかった。
――落ちたって何が落ちたんだい。
奥の方でそんなのんびりした声が聞えた。