Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
ネコは苦しがって悲鳴を上げながら、その帆布の内側からパリパリと爪を立てていました。僕がのぞいているのに気付くと、野呂はネコに向って、
「鼠をもっと取れ。努力が足りないぞ。このやくざネコ!」
と叱声を上げました。これは鼠を取らないためのお仕置と見せかけるためのごまかしなのです。その帆布製リュックサックは、僕がまだ野呂と仲が良かった頃、油絵具を使用して模様を描いてやったやつなのです。鼠をもっと取れだなんて、どうして猫に言葉が判るわけがありましょうか。これひとえにネコに帆布の感触と油絵具のにおいを覚えさせ、その条件さえ与えればすぐ爪を立てるようにと、猛訓練をほどこしているのに違いありません。だからネコは僕の部屋に入ってきて、油絵具を塗ったキャンバスを見ると、もう夢中になって爪を立てるのです。何という卑劣な嫌がらせでしょう。
そこで僕も自衛上余儀なく、新宿のガード下に出かけ、チョンマゲを結った変な爺さんから、竹製の孫の手を三本買い求めて来ました。可憐なる小動物を虐待する気分は毛頭ないのですが、キャンバスに爪を立てられてはこちらも上ったりです。そして僕の部屋にネコが入ってくると、間髪を入れず手近の孫の手をつかみ、ネコの頭をコツンと殴る。