Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

その眼付や真赤になった鼻の色からしても、猿沢はもう相当に酔っているらしいのでした。

「ねえ」やがて猿沢は視線をそこに定めたまま、相談でももちかけるように、低い調子で口を開きました。「もしもだね、メチルで盲目になったと仮定する。もちろん仮定だよ。その時君は、アンマになろうと思うかね。それとも琴を勉強して、その方面の師匠になろうと思うかね?」

その時の猿沢の顔がへんにまじめな表情だったので、蟹江はふと返答にまごつきました。

「仮定の問題には、ちょっとお答え出来ないけれど――」なんだか圧迫されるような気分になりながら彼はどもりました。「な、なぜそんなことを聞くんだね?」

「いや、今ふっと思いついたのさ」と猿沢は視線をゆっくりともどしながら、妙な笑い方をしました。「二つのものから一つを選ぶということは、これはなかなか大変なことだからね。つまり、芸術家か、生活人か、という問題だ」

「じゃ君なら、どちらを選ぶ?」

俺のコップを眺めながらそんなことを思い付くなんて、まるでこの焼酎がメチルみたいじゃないかと、やっとその時そう気がついて、蟹江はすこし中っ腹な調子で反問しました。