Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
『あんな女を女房にしたら、具合よくゆくかも知れないな』
二三度『すみれ』に通ううち、もはや蟹江はそう思うようになっていました。平穏なる家庭的平和。蟹江がぼんやりと望んでいるのは、それなのでした。久美子に求婚し、家庭へ迎え入れる。それをさまたげる事情は何もないのに、半年も蟹江がためらっていたというのも、実は彼は自分の容姿その他に自信がなかったからでした。自分は背も低いし、その癖いかり肩だし、眼はぎょろりと飛び出ているし、あまり取り柄のない男ぶりだということは、彼もちゃんと自覚していました。だからその点において、『すみれ』における猿沢の存在は、彼の胸をおびやかすに充分なのでした。
『しかしあいつには女房がいるではないか。全くけしからん』
相手の男に女房がいても、女心は動くものだろうか。小説なんかで見ると、動いたりすることも間々あるらしい、などと思うと、蟹江はじっと辛抱できないような気持になってきます。あいつは俺より背が高いし、身なりも派手だし、金離れもいいと来ている。しかも口もうまいらしい。しかし、そんなことに、あの聡明そうな久美子が動かされるだろうか。