Classici giapponesi con furigana
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いっか
一家
中野 鈴子
Leggi 一家 (いっか) di 中野 鈴子 (なかのすずこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 925 caratteri · 2 schermate
わたしの祖先は代々が百姓であった
八町はなれた五万石の城下町
ゆきとどいた殿様のムチの下で這いまわった
少しのことに重いチョウバツ
百たたきの音が夜気を破った
天保に生まれた祖父はいつも言った
百姓のようなつらい仕事があろうか
味無いもの食って着るものも着ず
銭ものこらん
金づちの川流れだ
わたしの父母は五人の子供を育てた
父母は子供を百姓にさせる気はなかった
二人の男の子は五つ六つから朝晩瀬戸の天神様へおまいりした
小学校を出ると学校へ入るためにズッと村をはなれた
一番目の息子は彼が二十年近くの学校生活を終えたとき
父親の油と汗、いくばくかの田地にすりかえられている自分を発見した
彼は父親の血肉と一家のたてなおしを背負って外国に仕事を見つけ海を渡った
慣れぬ異国の風は日ならずして彼をたおした
はるばる父がかけつけたとき、彼は骨になっていた
二番目の息子は休みに村へ帰っても浮かぬかおして黙っていた
そのうち 治安維持法で監獄へ入った
父母は絶望しかなしみ、門の戸を締め村人の目をさけた
町の質屋へ嫁入った上の娘のわたしは
換算される毎日の利上げが
いやらしきことの目盛りのように思われ、堪え切れず兄を頼って上京した