Classici giapponesi con furigana
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いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
Leggi 一寸法師 (いっすんぼうし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 96.475 caratteri · 194 schermate
紋三は押入なども一々開けて見て、隈なく家中を探したけれど、老婆のいった通りねこの子一匹いなかった。あの様に表口裏口を監視していたのだから、夫人達が若し家を出たとすれば彼の目につかぬはずはないのだし、彼が表から入った物音を聞きつけて、その隙に彼等が裏口から逃げるという様なことは、不可能だった。そんな余裕のあろう訳がない。つまり、彼等はこの家の中で消えうせてしまったとしか考えられなかった。
紋三は又しても狐につままれた気持だった。考えて見ると今度の事件には、妙に幾度も同じ様なことが起った。三千子も部屋の中で消失した。例の気味の悪い一寸法師は、養源寺の庫裏へはいったまま消えてなくなった。そして今夜は山野夫人の番だ。紋三はうんざりした。
彼は老婆に叱られながら、すごすごと家を出た。
「このごろ己の頭はどうかしているのか。それとも、悪人が神変不思議の妖術でも心得ているのか。一体どっちが本当なんだ」
まるで悪夢にうなされている様な感じだった。彼は電車道を探して暗い町を歩きながら、ふと子供の時分に聞いた、狐や狸が人を化かす話を思い出していた。あの荒唐無稽な恐怖が、彼の背筋を冷くした。