Classici giapponesi con furigana
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さんえもんのつみ
三右衛門の罪
Leggi 三右衛門の罪 (さんえもんのつみ) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7132 caratteri · 15 schermate
いかに卑怯なことをしても、ただ勝ちさえ致せば好いと、勝負ばかり心がける邪道の芸でございまする。数馬の芸はそのように卑しいものではございませぬ。どこまでも真ともに敵を迎える正道の芸でございまする。わたくしはもう二三年致せば、多門はとうてい数馬の上達に及ぶまいとさえ思って居りました。………」
「その数馬をなぜ負かしたのじゃ?」
「さあ、そこでございまする。わたくしは確かに多門よりも数馬を勝たしたいと思って居りました。しかしわたくしは行司でございまする。行司はたといいかなる時にも、私曲を抛たねばなりませぬ。一たび二人の竹刀の間へ、扇を持って立った上は、天道に従わねばなりませぬ。わたくしはこう思いましたゆえ、多門と数馬との立ち合う時にも公平ばかりを心がけました。けれどもただいま申し上げた通り、わたくしは数馬に勝たせたいと思って居るのでございまする。云わばわたくしの心の秤は数馬に傾いて居るのでございまする。わたくしはこの心の秤を平らに致したい一心から、自然と多門の皿の上へ錘を加えることになりました。しかも後に考えれば、加え過ぎたのでございまする。多門には寛に失した代りに、数馬には厳に過ぎたのでございまする。