Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

Leggi 三四郎 (さんしろう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.765 caratteri · 343 schermate

Aozora Bunko

泣きながら、人の袖の下を右へ行ったり、左へ行ったりうろうろしている。おばあさん、おばあさんとむやみに言う。これには往来の人もみんな心を動かしているようにみえる。立ちどまる者もある。かあいそうだという者もある。しかしだれも手をつけない。子供はすべての人の注意と同情をひきつつ、しきりに泣きさけんでおばあさんを捜している。不可思議の現象である。

「これも場所が悪いせいじゃないか」と野々宮君が子供の影を見送りながら言った。

「いまに巡査が始末をつけるにきまっているから、みんな責任をのがれるんだね」と広田先生が説明した。

「わたしのそばまで来れば交番まで送ってやるわ」とよし子が言う。

「じゃ、追っかけて行って、連れて行くがいい」と兄が注意した。

「追っかけるのはいや」

「なぜ」

「なぜって――こんなにおおぜいの人がいるんですもの。私にかぎったことはないわ」

「やっぱり責任をのがれるんだ」と広田が言う。

「やっぱり場所が悪いんだ」と野々宮が言う。男は二人で笑った。団子坂の上まで来ると、交番の前へ人が黒山のようにたかっている。迷子はとうとう巡査の手に渡ったのである。

「もう安心大丈夫です」