Classici giapponesi con furigana
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さんしろう
三四郎
Leggi 三四郎 (さんしろう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.765 caratteri · 343 schermate
また突然家を持つかもしれない」
「奥さんでもお貰いになるお考えはないんでしょうか」
「あるかもしれない。いいのを周旋してやりたまえ」
三四郎は苦笑いをして、よけいな事を言ったと思った。すると広田さんが、
「君はどうです」と聞いた。
「私は……」
「まだ早いですね。今から細君を持っちゃたいへんだ」
「国の者は勧めますが」
「国のだれが」
「母です」
「おっかさんのいうとおり持つ気になりますか」
「なかなかなりません」
広田さんは髭の下から歯を出して笑った。わりあいにきれいな歯を持っている。三四郎はその時急になつかしい心持ちがした。けれどもそのなつかしさは美禰子を離れている。野々宮を離れている。三四郎の眼前の利害には超絶したなつかしさであった。三四郎はこれで、野々宮などの事を聞くのが恥ずかしい気がしだして、質問をやめてしまった。すると広田先生がまた話しだした。――
「おっかさんのいうことはなるべく聞いてあげるがよい。近ごろの青年は我々時代の青年と違って自我の意識が強すぎていけない。我々の書生をしているころには、する事なす事一として他を離れたことはなかった。すべてが、君とか、親とか、国とか、社会とか、みんな他本位であった。