Classici giapponesi con furigana
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さんざんこじ
三山居士
Leggi 三山居士 (さんざんこじ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1776 caratteri · 4 schermate
二月二十八日には生暖たかい風が朝から吹いた。その風が土の上を渡る時、地面は一度に濡れ尽くした。外を歩くと自分の踏む足の下から、熱に冒された病人の呼息のようなものが、下駄の歯に蹴返されるごとに、行く人の眼鼻口を悩ますべく、風のために吹き上げられる気色に見えた。家へ帰って護謨合羽を脱ぐと、肩当の裏側がいつの間にか濡れて、電灯の光に露のような光を投げ返した。不思議だからまた羽織を脱ぐと、同じ場所が大きく二カ所ほど汗で染め抜かれていた。余はその下に綿入を重ねた上、フラネルの襦袢と毛織の襯衣を着ていたのだから、いくら不愉快な夕暮でも、肌に煮染んだ汗の珠がここまで浸み出そうとは思えなかった。試ろみに綿入の背中を撫で廻して貰うと、はたしてどこも湿っていなかった。余はどうして一番上に着た護謨合羽と羽織だけが、これほど烈しく濡れたのだろうかと考えて、私かに不審を抱いた。
池辺君の容体が突然変ったのは、その日の十時半頃からで、一時は注射の利目が見えるくらい、落ちつきかけたのだそうである。それが午過になってまただんだん険悪に陥ったあげく、とうとう絶望の状態まで進んで来た時は、余が毎日の日課として筆を執りつつある「彼岸過迄」